糖尿病は、現代において最も一般的な代謝性疾患のひとつである。
糖尿病の慢性合併症には、糖尿病性網膜症、腎症、神経障害、糖尿病性足症などの重篤な疾患があり、いわゆる手足のサラミ切断に至ることも多い。
同様に、これらの合併症は未治療の糖尿病から生じる。
糖尿病の慢性合併症の進行を遅らせる基本原則は、正常な血糖値を維持し、体重を減らし、高血圧や喫煙などの他の心血管危険因子に影響を及ぼすように努めることである。
糖尿病は高血糖と呼ばれる血糖値の上昇によって特徴づけられるが、高血糖にはさまざまな原因があり、その結果もさまざまである。
高血糖は、食物から摂取したグルコースが血液から細胞内に移動せず、細胞内で生命の主要なエネルギー源として利用されない場合に起こる。 グルコースはいわゆる細胞外腔、すなわち血液中にとどまる。
グルコースの最も重要な供給源は、デンプン、スクロース、その他の炭水化物である。 体はまた、飢餓の際に効率的に使用できるグルコースの蓄えを持っている。
肝臓に貯蔵されているグリコーゲンは、グルコースの主な供給源である。 グリコーゲンがグルコースに分解される過程はグリコーゲン分解と呼ばれ、肝臓の細胞(肝細胞)で行われる。
食事中の炭水化物が不足した場合に、身体が自らを助けるもう一つの方法は、糖新生と呼ばれるプロセスである。
これは肝臓と腎臓で、タンパク質などの非糖類化合物からグルコースを「生産」することである。 体はこの方法で最大100グラムのグルコースを生産することができる。
身体に大きなストレスがかかる時期、例えば重度の感染症にかかっている時期には、生産量は1日400グラムまで増加する。
身体は食事で摂取したグルコースを利用するが、5時間の絶食後、前述のグリコーゲンや非糖質源といった自身の供給源をグルコースに変換し始める。
体内で最もグルコースを消費するのは脳で、1日に100~150グラムのグルコースを必要とする。
グルコースは、グルコーストランスポーター(GLUT)を介して細胞に入る。
筋肉と脂肪細胞にグルコースを運ぶグルコーストランスポーターはGLUT4と呼ばれる。 このGLUT4トランスポーターだけがインスリンを必要とする。 他のグルコーストランスポーターはインスリンに依存せず、インスリンなしでも働くことができる。
つまり、血液中に十分な量のインスリンが存在するか、インスリンの効果が不十分でない限り、私たちの体の細胞の少なくとも半分、筋肉と脂肪細胞は、グルコースの形でエネルギー供給を得られないということになる。
使われなかったブドウ糖は血液中を循環し続け、食物を摂取するたびに血糖値は上昇する。
グルコースは浸透圧活性物質であり、水を引き込む。 腎臓は浸透圧の上昇に反応して水分の排泄を増加させ、多量の尿を頻回に排尿し、体内の脱水症状を引き起こし、喉の渇きを強く感じるようになる。
血液中に多量に含まれるブドウ糖は、タンパク質などの他の構成要素にも影響を及ぼす。 これらは糖化を受け、いわゆる糖化最終生成物(AGEs)を形成する。 これらの物質は溶解しにくく、酵素はその分解を助けない。
AGEsは過剰に存在し、体内で利用されないため、腎臓などの様々な臓器に蓄積され始める。
AGEs(糖化最終生成物)は、糖尿病の後期慢性合併症の原因である。